子犬をお譲りすること
今回は私の都合でベリーの繁殖を決めました。
理由は私がベリーの子犬が欲しかったから。
そしてこれを決めて日本に連れて帰ってくれば、多くの方が欲しいと言ってくださることも想定範囲内でした。
ベリーは愛嬌たっぷりフレンドリーで、運動神経バリバリですから、特にガンドッグをやっていれば理想の子だと思います。
また私の想いだけではブリーディングをすることは出来ません。やはり賛同してくださる方が前もっていてくださるから実現できて、産まれた子犬たちも幸せに暮らしていけるのだと思います。
しかし私は頻繁にブリーディングをするわけではないし、本業ではないから、
本当にこればっかしは産まれるまで確約ができないことですよね。
私は過去にイギリスで9回ブリーディングのノウハウを経験させていただきました。
「子犬を迎える」という意識の違いもイギリスと日本では違う。
子犬を迎えたら動物病院や町内会館どこでも、パピークラスがあるし(犬同士の遊びは一切なし)、グッドシチズンもとても身近なものだから、子犬の頃からきちんと「成犬になったらこんなことしたい」が飼育のビジョンの幼い頃からあるため、その犬の可能性を最大限に活かしてあげることができると思います。
国内で生まれている犬が出産することと、はるばるイギリスからやって来た犬が日本で出産することにも違いはあります。
そして今回ひなたくんという私の理想の男の子を見つけてしまって、こんなに理想な子犬はいないと思うのです。
皆さんが欲しくなる理由もわかります。
私は本業を休んで、周りのサポートもいただきながら手をかけて育てるから子犬育てにも自信があります。
割り切って、早く行列に並んだ順からどうぞ!と出来ればいいのですが、私にとってはみなさん列の同じところに並んでいるように見えるのです。
皆さんの熱い想いはもちろん、私はドッグトレーナーとして各家庭の先住犬との暮らしをじっくり見させていただいているので、「子犬を迎えたらこんな暮らしになるだろう」ということも少し見えてしまうし、
逆に言うとどの方からも
「今子犬を迎える前に取り組むべきことがあるのではないだろうか」と思う節もあるのです。
最初に欲しい!と言ってたから渡す、伝えるのが遅かったから残念でした。とは言い切れないのです。
以前から子犬が産まれたら誓約書を作成し、文章から私の方針を理解していただいて迎えて欲しいという想いがありました。
これはブリーダー目線というよりはドッグトレーナー目線
私の本業はドッグトレーナーで、子犬を迎えたことで更に犬を理解し、コミュニケーション力が身につくことで、さらに暮らしを豊かにして欲しい気持ちが詰まっています。これが私がイギリスで学んだこと。最良の家庭犬に育てるということも私から子犬を譲り受ける上での最高のオプションであり、重いプレッシャー(笑)だと思っていただければ幸いです。
子犬が実際に産まれてみて、気持ちが高まり書いていたら誓約書ページ8枚に渡りました(笑)
こんな誓約書を出すブリーダーさんいないと思います。
でもこの文面を「長いなー」と驚くようであれば、私から子犬を迎えるという選択肢はなくしたほうがいいと思います。
私は初めに伝えきれずに、渡した後にモヤモヤ遠くから見ていることは出来ないので
私から子犬を迎えるということはこういうことだというのをわかっていただけたらと思います。
日本の犬事情は欧米に比べて遅れているし、まだまだ改善する必要があると思います。そのために動いてくださる方がいるのに、根元が変えられないのはおかしいなと思います。
犬はまだ物として扱われていて、人が望むがままに買えてしまう(飼えてしまう)という事にも問題がありますよね。
私は捨て犬を保護したり、殺処分0に繋がるための活動はしていません。
しかし「犬とは何か、犬を迎えるとは何か、犬との暮らしがどうあるべきか」を伝えることは出来ます。
特に日本では環境的に小型犬の方が飼いやすい住宅事情であることから、大型犬が肩身の狭い思いをしてしまう場面もありますよね。そして実際にその大型犬のコントロールができていなくて、事故につながるということも事実としてあると思います。
その大型犬のコントロールが人間の一方的な感情的で強制でないやり方を伝えることも私は出来ます。
大型犬が肩身の狭い思いをしないで飼い主さんとアクティビティを楽しむことを見せることもできます。
そのため私のブリーディングは私なりにイギリスで学んで来たことの集大成の一つなのではないかなと思います。
このブログをご覧になっている方にざっくり誓約書に何が書いてあるかをお伝えしますね😃
・ベリーとひなたくんのデータ
子犬を迎えるにあたって母犬父犬を理解することはすごく大事なことです。それにより、まずこの子犬は自分に迎えるに適しているかを考えていただきたいです。
イギリスでは子犬を迎える前にほとんどの場合がブリーダー訪問をして、母犬や父犬(可能であれば) どんな犬なのかを知り、ブリーダーさんにも自分が子犬を迎えるに適しているかを審査してもらいます。
また特に皆さんのほとんどがベリーを見て子犬が欲しいと言っている方なので、
「走るスピードと意欲はベリーの個性、まっすぐ走る正確さと飼い主とのコミットメント・ガンドッグのパフォーマンス・生粋のフレンドリーさは私の努力の結晶です」
「遺伝はあるにしても、そこを子犬から引き出せるかは飼い主さんの努力と理解次第です」と記載しました😆
・万が一の場合に飼育が難しくなった場合に、飼育責任者の代理をたてて申告していただく。
これは私自身も明日どうなるかはわかりませんので、常に私が面倒見切れない時はと、考えています。実際に今回子犬希望をしてくださる方の多くが「この子が大型犬として迎える最後の一頭となるかもしれない」という方が多いので💦この項目は必須として入れさせていただきました。
・飼育についてのお約束
飼育方針=どのようにトレーニングをしてコミュニケーションを深めるか
という表現から、
「この犬と暮らす上で、飼い主さんがストレスを感じることがなく、家族や他犬・同居犬に迷惑をかけない」という飼育方針は取り組んでいただく
・室内飼育で、生活のメインは囲われたゲージの中ではないこと。必要に応じての短時間のゲージ待機は構いません。また万が一の事態でゲージ待機が求められた時(犬の入院や災害時)に、居心地よくいられるようにトレーニングはしましょう。
・生食での飼育のお願い
メリットは犬は生肉を消化する能力が高い上に、食物に含まれる酵素が熱で破壊されず、犬の体に吸収される。健康な体づくりの軸となるため。
生食で離乳食から行なっていくために途中でドッグフードに変えてしまうと、骨の形成スピードの違いから成長に支障をきたすというリスクの提示
・子犬を迎えることで先住犬にかける時間がおろそかにならないことのお約束、迎えてから先住犬と相性が合わないと判断させていただいた際には飼い主さんの有無なしに、ブリーダーに返還していただくお約束
↑これは犬の大きさの大小関係なしに下積み時代から見ていた子犬を迎えた上で、ドッグトレーナーとしてよく見る心が痛いワンシーンです。
・子犬を迎えたのに先住犬が遊んでくれない
・子犬を迎えたら1頭ずつの散歩ができない
・子犬がしつこく誘って先住犬がかわいそう
・多頭だから生食が出来ない、お金かかる
多頭飼いで手間も時間もかかるのは当たり前。その覚悟ができずに迎えて、犬のせいにするのは自分への甘えだと思います。そして渡してしまったブリーダーの責任でもあると思います。
・性別による誓約
去勢の決定は飼い主さんに決めていただきますが、適切なタイミングを考慮すること。
そして今回女の子は3頭だけですので、どの犬も次の繁殖候補として遺伝検査をしていただくことをお約束していただきます。
あとはお渡しする時期と、何を渡すか、ワクチンやマイクロチップに関して提示をしました。
私は日本に帰ってきたから特にレトリバーだけですが、多くの意識の高いブリーダーさんに出会いました。皆さん海外のスタンダードや最新情報を取り入れて、それが結果犬の輸入や海外の繁殖犬の精子から人工授精をされて、その犬種や産まれる子、迎えた飼い主さんは意識がどんどん欧米に近づくことはいいことですよね😊✨
ここから日本を変えることもできると思います!
ステキなおうちに巣立っていこうね!